派遣業者に登録をして、複数の派遣先で稼ぐ人が大勢います。たとえば訪問介護事業所で登録ヘルパーとして働く傍ら、日によってはデイサービスで働くといった具合に、その時々によって介護職を掛け持ちするといった具合です。介護職員は医療職とは異なり、法律で派遣で働くことを禁止されていません。そのことも手伝って、多様な働き方が出来てきているわけです。
また、切実な現場の声としてよく上がるのが、正社員として雇用できないあるいは雇用してくれないということで、掛け持ちで働かざるを得ない、また、派遣社員で現場を切り盛りするしかないといった問題が根底にある状況になってしまっています。介護保険における収入の大部分は介護報酬ですが、国は抑制の方向で動いているとされ、必ずしも毎年増え続けているわけではありません。結果として人材不足が顕著となる業界になり正社員として雇用もできないところでは、短時間労働を掛け持ちでするような人を雇用せざるを得なかったり、あるいは働く側も一か所だけでは低賃金のため、掛け持ちせざるを得ない状況になってしまっています。今後、団塊の世代が現役をリタイアするに際して、当分の間は対象となる人が増え続けます。
どう対処していくのか国の施策如何によるでしょう。安易に報酬を上げれば、それは40歳以上が支払う保険料に跳ね返らざるを得ず反発が予想されることもあって、難しいかじ取りになることが予想されるところです。派遣で働く職員の給料面が安定しないと、制度自体が崩壊しかねない危険性をはらんでいます。